【労働災害:調理師が長時間労働をし、脳出血により死亡した事例】

大阪高裁令和3年3月25日判決、判例時報2519号120頁

1 ポイント

①   雇主側の注意義務違反行為の有無、②長時間労働と死亡の相当因果関係、③損害額

2 何があったか?

調理師が月平均約250時間の残業をふくむ長時間労働に約1年間従事し、心筋炎の手術後、脳出血で死亡した。遺族から雇用主の会社および代表役員を相手に損害賠償を請求した。

3 大阪高裁は何を認めたか?

会社および代表役員の注意義務違反行為、死亡との相当因果関係を認め、死亡損害の賠償金(8000万円以上)の支払いを命じた。

4 コメント

調理師のような専門職の人が、睡眠不足となりながら長時間労働に従事している姿を想像すると痛ましい。なぜ、自ら労働基準法で労働時間を守るように雇主に求めることができなかったのか、さまざまな理由が考えられる。お金のため、仕事を続ける責任感、その人の人生観など。しかし、一番大切なものは健康だ。身体を壊すと取返しがつかない。何か困った時は、自分で「ちょっと待て」と考えたり、一人で悩まず誰かに相談することが必要だ。