【紛争調停委員会、そして労働審判から通常訴訟へ移行した事例】

東京地裁平成20年11月7日和解成立

  労働判例No.978、97頁

1 ポイント

  • 紛争調停委員会
  • 労働審判
  • 通常訴訟。

2 何があったか?

XはY社から正社員として採用内定を受けていたが、事前研修後、内定取消しとなった。

3 裁判所は何を認めたか?

  • Xは、東京紛争調停委員会にあっせんの申入れをしたが、Y社が参加しなかったために打切りとなった。
  • Xは、東京地裁に損害賠償を求める労働審判を申立てた(請求額不明)。調停案として解決金60万円が示されたが成立せず、同額の審判が言渡された。
  • Y社が異議を申し立て、同じ東京地裁の通常訴訟に移行し、そこで解決金50万円の和解が成立した。

4 コメント

厚生労働省は、個別労働紛争解決制度として、3つのメニューを用意している。

①総合労働相談コーナー(フリーダイヤル0120-601-556)、②都道府県労働局長による助言、指導、③紛争調停委員会によるあっせん。

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/kobetsu_roudou_funsou/roudou-soudan/1.html

  労働審判は、労働審判法に基づく地方裁判所の手続である。ほぼ3回の期日で手続は終了する。調停が成立しない場合は審判が下されるが、審判に不服がある場合は異議申立てをすることができる。その場合は同じ地方裁判所での通常訴訟となる。そして、そこでの和解解決もありうる。