損害賠償請求事件
東京地方裁判所令和4年4月7日判決
(最高裁判所HP、裁判例検索)
1 ポイントは何か?
大学教授が大学に授業の割当を求める権利、大学教授が大学のハラスメント防止・対策専門部会に相談する権利。
2 何があったか?
大学教授Xは、大学Yが、Xに授業を担当させない行為を、ハラスメント防止・対策専門部会に相談したのに長期にわたり放置されたことは、労働組合活動の妨害、パワハラ、労働契約上の債務不履行に当たり、同部会への相談内容をG事務局長に転送したのはプライバシー侵害に当たるとして、慰謝料300万円、弁護士費用30万円を請求して裁判を申立てた。
Yは、これを争い、Xの授業担当については、Yの裁量権を主張し、Xの学生に対するパワハラ等も主張した。
3 裁判所は、何を認めたか?
裁判所は、Xに、105万円の慰謝料と1万円の弁護士費用を損害として認めた。
裁判所は、Xの主張の内、労働契約の債務不履行を認め、その余の主張は斥けた。
4 コメント
裁判所は、労働契約の意思解釈としてXの授業割当請求権を認めたのであり、意思解釈によっては認められなかったことも考えられる。
Xの不当労働行為、パワハラ、および、プライバシー侵害の主張は、認められなかったが、微妙なケースであった。
慰謝料と弁護士費用を債務不履行の損害として認めることについては、裁判所は一般的に謙抑的な傾向があり、過度に期待しない方が良いと思う。