【中小企業法務:フランチャイズ契約の解除が認められた事件】

千葉地裁民事第5部平成19年8月30日判決

平成16年(ワ)第1744号損害賠償請求事件(甲事件)

平成17年(ワ)第823号違約金等請求事件(乙事件)

(最高裁判所HP裁判例検索)

1 なにがポイントか?

  • フランチャイズ契約の締結に当たって考えなければならない点。
  • フランチャイズ契約からの離脱に当たって考えなければならない点。

2 何があったか?

Aは、中学生のころより、たこ焼き店を開業したいとの夢を抱いていた。Cは、「C」の屋号でフランチャイズ方式によるたこ焼き店を展開している。Aは、Cとの間で、フランチャイズ契約(基本契約と個別契約からなる。)を締結した。Cが指定したE建設が、Aの店舗の改装工事をした。B(Aの夫)は、当初は同契約に反対していたが、Aの開店直前に、Aの連帯保証人になった。

Aは、開店から4か月後、Cに対し、本件フランチャイチャイズ契約の解除通知をし、その後、C及びE建設を被告らとして、損害賠償請求訴訟(甲事件)を提起した。理由は、説明義務違反、研修義務違反、適切な建設業者を選択する義務の違反、漏水・漏電などのために再修理費用を要したなど。損害賠償請求額は、C(一部Eと連帯して)に対して約566万円、E建設(一部Cと連帯して。)に対して約180万円、及び、これらに対する民法(改正前)所定の年5%の遅延損害金。

これに対し、Cは、A及びBを被告らとして違約金等請求訴訟(乙事件)を提起した。請求額は542万円及びこれらに対する商事(改正前)法定利率年6%の遅延損害金。

3 裁判所は何を認めたか?

AのC及びEに対する損害賠償請求は、Aの一部勝訴。Cは約170万円、Eは約30万円を、Aに支払う義務を負う。

その理由として、AのCに対するフランチャイズ契約の解除の主張と、損害賠償請求の根拠として、CのAに対する説明義務違反、研修義務違反、適切な建設業者を選択する義務の違反等が認められた。

EのAに対する再修理代相当損害金の負担が認められた。

CのA及びBに対する違約金請求は、Cが敗訴。

4 コメント

フランチャイズ契約の主催者(フランチャイザー)は、加盟者(フランチャイジー)に対し、どのような費用負担があるか、店舗の設計施工業者はどうするか、事前研修や事業サポートはどのようにするか等、丁寧に説明する必要があります。また、加盟者にどの程度の店舗経営、営業能力があるのかを、よく調べておく必要があります。

加盟者は、主催者に対し、どのような負担を負うのか、どのような研修をしてくれるのか、店舗営業をどこまでサポートしてくれるのか、営業が予定通りにいかない場合にどうすればよいのか等、また、店舗の設計施工業者の選び方はどうするのか、主催者側が選ぶ場合、事前にきちんと話合いができるのか、漏水や不具合が生じた場合、どうすればよいのか等、良く聴き、よく調べておく必要があります。

また、自分自身の店舗経営、営業能力のチェックも必要です。連帯保証人が必要だという場合、予想外の責任を負わせることにならないか、損害賠償責任保険を掛けておくことができるのかなども調べてみる必要があります。

契約する前に仮契約でお金を払うと、正式契約に至らなくてもお金が戻ってこないだろうと考えておかなければなりません。

契約書の提示があった場合、弁護士会や法テラス等で弁護士の紹介を受けて、あるいは自治体の法律相談等に足を運んで、チェックしてもらってから、決めたほうがよいと思います。

家族で、よく話し合うことも大切です。