【少年審判:家庭裁判所が14歳少年を児童自立支援施設及び児童相談所長に送致した事例】千葉家裁令和4年3月29日決定(判例時報2536号125頁)

1 ポイントは何か?

⑴ 少年院
⑵ 児童自立支援施設
⑶ 児童相談所、強制措置

2 何があったか

⑴ 少年Aは、幼少期に父から暴力を受け、父母の離婚後、母からも身体的虐待を受けた。
また、幼少期に自閉症スペクトラム障害、注意欠陥、多動性障害、言語発達遅滞等の診断を受けた。
小学校では、特別支援学級で授業を受け、精神科の服薬をしていた。
⑵ 少年Aは、小学校5年生頃、児童相談所の一時保護を経て、同6年生時に児童自立支援施設に入所した、
⑶ 少年Aは、児童自立支援施設に入所してから3年後に暴力事件を何度も起こすなどした。当時14歳。

3 裁判所は何を認めたか?

⑴ 児童自立支援施設へ送致する。
⑵ 児童相談所長へ送致し、少年を受け入れる施設の準備が整う予定の2年間の間に通算120日の強制措置をとることができる。
⑶ 現時点では少年院という強固な枠組みまでは必要ない。
⑷ 保護に当たる周囲の大人たちとの信頼関係に根差した共同生活の中で自己の感情をコントロールし、気持ちを適切に言葉で伝える力を身に着けさせることによって少年の自立を支援することが相当。

4 コメント

こどもたちは、取り巻く大人たちとの信頼関係の中で、自己コントロールや、言葉で自分を表現することを学びながら、成長しなければならない。