【選挙事件:参議院比例代表と選挙区の選挙の無効が主張された事件2】

1 ポイントは何か?

  参議院の非拘束名簿式比例代表制

2 なにがあったか?

  非拘束名簿式比例代表制に依拠する平成13年7月29日施行の参議院(比例代表選出)議員の選挙は憲法15条及び43条1項に違反し無効であるとして選挙無効訴訟が提起された。

3 裁判所は何を認めたか?

最高裁は、国会が裁量権の限界を超えた場合に憲法に違反することになるとして、多数の判例を引用し、非拘束名簿式比例代表制は違憲とは言えないとして、請求は棄却された。  

4 コメント

  最高裁の裁判官全員一致である。しかし、非拘束名簿式比例代表制は、投票の質に問題をきたさないか。これから検討すべきである。私は、政治に不可欠なものは、国民全体の代表者にふさわしい一人一人の国会議員であり、政党はそれを補完するものでしかないと思う。

(参考:国会の裁量権に関し本最高裁判決が引用した判例)

最高裁昭和49年(行ツ)第75号同51年4月14日大法廷判決・民集30巻 3号223頁,最高裁昭和54年(行ツ)第65号同58年4月27日大法廷判 決・民集37巻3号345頁,最高裁昭和56年(行ツ)第57号同58年11月 7日大法廷判決・民集37巻9号1243頁,最高裁昭和59年(行ツ)第339 号同60年7月17日大法廷判決・民集39巻5号1100頁,最高裁平成3年 (行ツ)第111号同5年1月20日大法廷判決・民集47巻1号67頁,最高裁 平成6年(行ツ)第59号同8年9月11日大法廷判決・民集50巻8号2283 頁,最高裁平成9年(行ツ)第104号同10年9月2日大法廷判決・民集52巻 6号1373頁,最高裁平成11年(行ツ)第8号同11年11月10日大法廷判 決・民集53巻8号1577頁及び最高裁平成11年(行ツ)第241号同12年 9月6日大法廷判決・民集54巻7号1997頁参照等。

判例

平成15(行ツ)15 号 選挙無効請求事件

平成16年1月14日  最高裁判所大法廷判決(棄却)

原審  東京高等裁判所

民集58巻1号1頁