【抵当権:抵当権を実行しようとしたら建物に不法占拠者がいた事件】

1 ポイントは何か?

  抵当権の実行

2 何があったか?

  Aが、Bらが根抵当権が設定された建物を権原なく占有していることが不動産競売手続の進行を阻害し、そのために本件貸金債権の満足を受けることができないとして、Bらに対し、本件根抵当権の被担保債権である本件貸金債権を保全するため、Eの本件建物の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使して、本件建物の明渡しを求めた。

3 裁判所は何を認めたか?

【要旨第一】抵当権者は、被担保貸金債権を保全するため、民法423条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができる。抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるときは、抵当権に基づく妨害排除請求として、右状態の排除を求めることも許される。最高裁平成元年(オ)第1209号同3年3月22日第二小法廷判決・民集45巻3号268頁は、以上と抵触する限度において変更すべき。

【要旨第二】Aの請求は、本件根抵当権の被担保債権をもって代位の原因とするが、本件根抵当権をもって所有者に代位して上告人らに対して本件建物の明渡しを請求する趣旨を含むものと解することができるから、認容すべき。

4 コメント

  不法占拠者がいる場合、抵当権者は妨害排除請求が可能。

判例

平成8(オ)1697建物明渡請求事件 平成11年11月24日最高裁判所大法廷判決(棄却)

民集 第53巻8号1899頁