【不服申立不可の事件:国税犯則取締法の捜索差押許可状および差押処分の個別の取消しは認められないとされた事件】

1 ポイントは何か?

国税犯則取締法の捜索差押許可状および差押処分の個別の取消しを直接準抗告でもとめることはできないのであって、行政事件訴訟法に定める行政事件訴訟の方法によるべきとした。

2 何があったか?

準抗告により国税犯則取締法の捜索差押許可状および差押処分の個別の取消しを求めた。

3 裁判所は何を認めたか?

  棄却。

  国税犯則取締法の捜索差押許可状および差押処分の個別の取消しの準抗告は認められない。行政訴訟により右許可自体の違法を理由としても当該強制処分の取消しを求めることができるので、行政事件訴訟法に定める行政事件訴訟の方法によるべき。

「国税犯則取締法2条は、収税官吏は、犯則事件を調査するため必要があるときは、その所属官署の所在地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所の裁判官の許可を得て臨検、捜索または差押をすることができるものと定めている。この裁判官の許可は、往々、許可の裁判または許可状発付の裁判と称されるが、しかし、裁判所または裁判官が訴訟の当事者に宛てて行なう訴訟法上の通常の意義における裁判ではなく、職務上の独立を有する裁判官が、公正な立場において、収税官吏の請求に基づき、収税官吏が右の強制処分を実施することが適法であるかどうか等を事前に審査したうえ、これを肯認するときは、許可状を交付することによってその強制処分を適法に行なうことを得しめるものにほかならない。すなわち、それは、収税官吏に対して強制処分の実施を命ずるものではなく、また、一連の徴税手続の一環としてなされる国家機関相互間の内部的行為にすぎないのであって、強制処分を受けるべき者に対して直接に効力を及ぼすものではないのである。このような行為については、不服申立に関する明文の規定がないかぎり、独立の不服申立を認めない趣旨と解すべきであり、したがって、刑訴法429条の規定の準用を認めるのは相当でなく、その許可の取消を求める準抗告は不適法というべきである。そして、このように解しても、右の許可に関して法律上の不服の理由を有する者は、後述の ごとく、その許可により実施された強制処分の結果自己の権利が違法に侵害されたことを主張して、行政訴訟により右許可自体の違法を理由としても当該強制処分の取消しを求めることができるのであるから、裁判を受ける権利を保障する憲法32条の規定に違反することはないものといわなければならない。

国税犯則取締法2条による収税官吏の差押処分に対する不服申立も またその例外ではなく、行政事件訴訟法に定める行政事件訴訟の方法によるべきであって(なお、当裁判所昭和26年(オ)第548号同28年6月26日第二小法廷判決、民集7巻6号79頁参照。)、これにつき刑訴法430条の規定の準用を認めるべき理由はなく、かかる差押処分の取消を求める準抗告は不適法といわなければならない。」

4 コメント

  手続きは難しいが、そのルールに従う必要がある。わからない時は直接、裁判所にどうしたらよいかを聞いてもよい。

判例

昭和42(し)78  捜索差押許可の裁判の取消並びに差押処分の取消を求める準抗告棄却決定に対する特別抗告

昭和44年12月3日  最高裁判所大法廷  決定  棄却