1 ポイントは何か?
裁判官に職務違反、怠慢ないし品位を辱める行状があった場合(裁判所法49条)、戒告又は1万円以下の過料の懲戒を受ける(裁判官分限法2条)。本件判決は、高等裁判所裁判官Aが自己の担当外の事件である犬の返還請求等に関する民事訴訟を提起して犬の返還請求が認められた当事者の感情を傷つけるなど、品位を辱める行状があり、最高裁判所の決定で戒告となった事例である。
2 何があったか?
高等裁判所裁判官Aは、平成30年5月17日頃、ウェブ上の7投稿で、自己の担当外の事件である犬の返還請求等に関する民事訴訟を提起して犬の返還請求が認められた当事者の感情を傷つけた。
3 裁判所は何を認めたか?
Aを戒告にした。
「裁判所法49条も、裁判官が上記の義務を負っていることを踏まえて、「品位を 辱める行状」を懲戒事由として定めたものと解されるから、同条にいう「品位を辱める行状」とは、職務上の行為であると、純然たる私的行為であるとを問わず、およそ裁判官に対する国民の信頼を損ね、又は裁判の公正を疑わせるような言動をい うものと解するのが相当である。」
4 コメント
裁判官の職務上の義務と表現の自由の問題です。
判例
平成30(分)1 裁判官に対する懲戒申立て事件
平成30年10月17日 最高裁判所大法廷