1 ポイントは何か?
中小企業協同組違法に基づいて設立されたタクシー事業協同組合の総代会において労働組合に協力的な協同組合員を除名したが、裁判所が除名の効力を認めなかった事件である。
2 何があったか?
タクシー事業協同組合が総代会を開催し、特定の協同組合員が協同組合の定款で定める事業を妨げようとしたとの除名理由により除名するとの3分の2以上の多数により決議し、裁判所に対し、当該被除名者らの協同組合員としての地位がないことの確認を求めた。
3 裁判所は何を認めたか?
タクシー事業協同組合の敗訴。
「D組合の目的は,事業者の協同により経済活動の機会を確保し,経済活動を促進し,事業者の経済的地位を向上することにあり(中小企業協同組合法1条),組合員は相互の経済活動の利便のために任意に団体に加入するものである。このような経済目的によって結ばれる団体の内部規律に関しては,宗教法人,学校法人などの内部規律とは異なり,当該団体の裁量的判断にゆだねられる余地は少ない。とりわけ除名処分といった法律関係を終了させる処分は,当該組合員の存在が組合員の相互扶助という組合の目的に反し,又はこの目的を阻害するといった明確な事実があるときに許容されるものであり,法が組合員の除名事由を法自ら定め,又は定款で定めることとし,除名のための手続として総会又は総代会における弁明の機会を保障しているのも,このような除名の趣旨を超えてD組合の経済目的と無関係な除名がされることがないようにするためである。」
4 コメント
団体の運営においては、目的と相互協力体制の確立が大切であり、少数派を強調させる努力も必要である。
判例
平成11(受)722 地位不存在確認請求事件
平成13年4月26日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判