1 ポイントは何か?
刑務所内での虐待等の有無。
2 何があったか?
受刑者である原告が主張した事実は、➀身体検査で全裸写真を撮られ、羞
恥心や名誉感情を著しく傷つけられ、➁自殺・自傷のおそれのある要注意者に
指定して物品を制限し、7か月間カメラ室に収容して監視されプライバシー権
を侵害され、③同期間、居室殊遇とされ工場出仕等集団生活に参加できず、④
弁護士から原告宛ての裁判打合せのための信書の内容を2回検査され通信の秘
密を侵害され、いずれも精神的苦痛を被った等である。
原告が国に対し請求した損害賠償額は、1割の弁護士費用を含め金177
万1000円。
3 裁判所は何を認めたか?
原告一部勝訴。被告国に対し損害賠償金47万3000円と遅延損害金を
支払うよう命じた。
その内訳は、弁護士費用1割を含め、➀につき11万円、➁は3か月分に
限り、物品制限につき3万3000円、及び、カメラ室収容につき33万円で
あった。③の検査は必要の限度内で行っており、違法ではないとした。
4 コメント
国家賠償法1条1項、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律1条
、73条1項、74条1項、75条1項、89条、127条1項、2項3号、150条1
項、2項、154条2項、同規則48条1項2号、49条5項、53条、54条、受刑者
の生活及び行動の制限の緩和に関する訓令4条、5条、6条、刑務所の要注意被収容者等
処遇基準等に基づく判断である。
判例
岐阜地方裁判所 令和4(ワ)6 国家賠償請求事件
令和6年5月29日 判決(一部認容)