東京地方裁判所令和5合(わ)151 住居侵入、強盗致死、建造物侵入、窃盗、
強盗、窃盗未遂、強盗傷人等被告事件 令和6年10月22日判決
【最高裁HP掲載】令和5年合第151号【併合判決】
1 ポイントは何か?
闇バイトで集められた多数の被告人等による広域の強盗致傷等の多重事件であ
る。
2 何があったか?
被告人A、B及びCら3名及び他の氏名不詳者を含む多数の共犯者により約4
か月の間に行われた⑴東京都江東区の80歳女性に対する強盗致傷事件、⑵大
阪市中央区の47歳男性に対する強盗傷害事件、⑶東京都渋谷区の76歳と
80歳に対する強盗致傷事件、⑷横浜市でのキャッシュカード窃盗事件、⑸長
野県佐久市でのブランド商品窃盗事件、⑹東京都日本橋での金庫窃盗事件等が
含まれる。⑴東京都江東区強盗致傷事件では、検察官は、80歳女性被害者は
頸部圧迫の暴行等により死亡したと主張し、弁護人は、同被害者にはもともと
心機能低下があり、それによる心不全が原因であり暴行とは関係がないと主張
した。
検察官はA、B及びCら3名に対し無期懲役を求刑し、弁護人は有期懲役が相
当との意見を述べた。
3 裁判は何を認めたか?
裁判所は、A、B及びCら3名に対し、無期懲役、未決勾留日数中630日を
刑に算入するとの実刑判決を下した。
裁判所は、江東区80歳女性の死因は不詳であるが、頸部圧迫等の暴行により
死亡したことは疑いがないと判断した。医学的な因果関係ないし機序が厳密に
は解明できなくても、法的判断として、それらの暴行がなければ被害者の死亡
はあり得なかったことが認定されたものである。
4 コメント
凶悪犯罪であるが、やはり刑事被告人としての人権は守られなければならない
。そこで弁護人ができる限りの論陣を張ったことで、裁判所の慎重な判断を引
出した。
闇バイトには絶対に加わってはならない。普通のバイトと思っていても、それ
が闇バイトであることに気が付いたときは、可能な限り、直ちに警察に通報し
、保護を求めるべきである。もちろん、弁護士会、法テラス、知り合いの弁護
士等に相談することをお勧めする。