東京地方裁判所 令和5(わ)282 住居侵入、強盗致死被告事件
令和7年2月18日判決
1 ポイントは何か?
闇バイトで集められた多数の被告人等による強盗致死事件である。
2 何があったか?
被告人Yは、インターネットで闇バイトに応募し、他の共犯者らと共に、80
歳の被害者A宅に押し入り、バールで腹や背中を殴打して殺害し、時計3個を
奪った。
検察官は、Yが、他の共犯者甲、乙及び丙らの供述から、甲の指示によりYが
バールでAを殴打し肋骨骨折等の傷害を負わせ、多発傷害ショックにより死亡
させたと主張し、無期懲役を求刑した。
弁護人は、Yは、Aの身体に直接暴行等していないと主張した。
3 裁判は何を認めたか?
Yに対し、無期懲役、未決勾留日数中520日を刑に算入する、バール1本を
没収するとの有罪判決を下した。
裁判所は、YのみがバールでAを殴打したとの甲等の供述は信用できるとし
、80歳被害者をバールで殴打したのはYであると判断した。
遺体解剖を行った医師の新参からも、被告人の一人が同じ位置からバールを振
り下ろしたことが認定できるとした。
4 コメント
本件は凶悪犯罪であるが、刑事被告人としての人権は守られなければならない
。そこで、同じ位置から同じ方向にバールが振り下ろされていたとしても、そ
れが複数人の行為であることもありうるのではないか。そうであれば無期懲役
が懲役20年に修正される可能性はある。
闇バイトには絶対に加わってはならない。普通のバイトと思っていても、それ
が闇バイトであることに気が付いたときは、可能な限り、直ちに警察に通報し
、保護を求めるべきである。もちろん、弁護士会、法テラス、知り合いの弁護
士等に相談することをお勧めする。