【刑事事件:闇バイトで集められた者らによる強盗致傷事件等(東京都稲城市、山口県岩国市)】

東京地方裁判所立川支部 令和5年(わ)第98号、同第324号 住居侵入
、強盗致傷、強盗未遂被告事件 令和6年9月25日判決


1 ポイントは何か?


闇バイトで集められた多数の氏名不詳者等との共謀による強盗致傷等である。


2 何があったか?


被告人Aは、インターネットで闇バイトに応募し、⑴東京都稲城市の事件では
ハサミで脅して押し倒し、両手首を粘着テープで緊縛し、現金等が入った金庫
2個(時価合計約864万1780円相当)を強取し、被害者に全治10日の
傷害を負わせ、⑵山口県岩国市の事件ではカーッターナイフで脅し、両手を結
束バンドで緊縛したが、抵抗されたため未遂。
Aは、前刑での執行猶予期間中の本件各犯行であった。
検察官は、懲役13年を求刑した。
弁護人は、⑴事件では被害金額を争い、⑵事件では実行犯ではなく外で待機し
ていたと主張した。


3 裁判は何を認めたか?


Aに対し、懲役9年、未決勾留日数中470日をその刑に算入するとの実刑判
決を下した。


4 コメント


本件は闇バイトによる凶悪犯罪であるが、刑事被告人としての人権は守られな
ければならない。⑴事件では、あの闇バイト報酬額も援用されているが、それ
らの証拠だけからは金庫の在中物が十分に特定されたとは言えない場合もある
。⑵事件では、他の共犯者の、Aが犯行現場である建物内に入ったとする供述
が信用できない場合もある。
ところで、闇バイトには絶対に加わってはならない。普通のバイトと思ってい
ても、それが闇バイトであることに気が付いたときは、可能な限り、直ちに警
察に通報し、保護を求めるべきである。もちろん、弁護士会、法テラス、知り
合いの弁護士等に相談することをお勧めする。