【刑事事件:男性がホテルでデリヘル店の女性従業員と性交後、その女性従業員を救出するためと称して入室したデリヘル店の男性職員を素手や灰皿で殴打した事件(岡山)】

広島高等裁判所 平成29(う)104  傷害被告事件
平成30年3月14日 判決(破棄自判)  原審、岡山地方裁判所


1 ポイントは何か?


盗犯等防止法の誤想防衛と相当性


2 何があったか?


被告人Aは、ホテルの客室でデリヘル店の女性従業員Cと性交したところ、同
店の男性従業員BがCに呼ばれて入室し、Aに接近し、AにCを強姦した謝罪
と慰謝料を求めたところ、AがBの顔面を手拳で殴打し、更に灰皿等で殴打し
、Bの顔面等に傷害を与えた。
Aは、平穏に性的サービスを受け、Bが突然入室して顔をAに近付けて怒鳴っ
たので、身体に暴力を振るわれると思ったと弁解した。


3 裁判所は何を認めたか?


原審は、Aを傷害罪とし有罪判決を下したが、広島高等裁判所は、盗犯等防止
法の誤想防衛の規定を適用し、原審判決を破棄し無罪判決を下した。
刑法の誤想防衛とは異なり、正当防衛行為としての相当性は必要だが、やむを
得ずにした行為であることまでは要しない。


4 コメント


デリヘル店とは、デリヘル店がヘルス嬢を派遣するというもの。便利そうだが
、本件のように、怖い男性が突然お迎えに来ることもあることを覚悟しなけれ
ばならない。Aは傷害罪で起訴され、原審で有罪、高裁で無罪になったが、何
と危ない話だろう。これが闇バイトと結びつくとどんなことになるか。