【刑事事件:カンボジア王国のホテルで架空のFX取引詐欺を手伝った事件】

佐賀地方裁判所 令和6(わ)193  詐欺被告事件
令和7年7月2日判決 

1 ポイントは何か?

正犯か幇助犯か。

2 何があったか?

被告人両名は、氏名不詳者等と共謀し、第三者から架空のFX取引(外国為替証拠金取引)名目に金を詐取しようと企て、カンボジア王国のカジノホテルで他の日本人らと共に、LINEで氏名不詳の中国人から送られてくる日本語の修正作業に従事した。修正されたLINEは日本人に架空のFX取引を勧めるもので、それにより被害者Eから324万円、同Fから520万円を指定口座に送金させて詐取した。

検察官は、被告人両名を詐欺罪で起訴し、懲役3年6月を求刑した。

E及びFはいずれも被告人等から被害全額の弁償を受け、被告人両名は反省の弁を述べた。

3 裁判所は何を認めたか?

被告人両名とも重要な役割を担ったとして正犯であるとし、懲役3年、執行猶予4年の判決を下した。

4 コメント

国外に拠点を置き、新たな通信手段を利用した広域犯罪であり、その摘発には、各国の警察機構の協力が不可欠である。被告人両名は日本人であるが、犯行組織の全容は分かっていないようだ。パスポートを取り上げられ、グループから離脱することが困難であったという事情もある。期待可能性の点はどうであろうか。

以上

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