東京地方裁判所 令和6(ワ)70601 DMCAカウンターノーティスに基づく
URL回復請求事件 令和7年8月6日判決
1 ポイントは何か?
先手必勝削除(プリエンティブ削除)とは、検索サイトから特定のURL(ネ
ットワーク上の情報の住所)が一度も検索されない前に削除されること。
2 何があったか?
A(Google)が運営する検索サイトから、B(Ai)の運営するウェブ
サイトのURLが先手必勝削除された。
Bは、Aに対し、米国デジタルミレニアム著作権法(DMCA)512条(g)
項(2)節に基づき、上記URLを削除する措置を撤回して同URLの回復する
よう求める裁判を東京地方裁判所に提起した。
これに対し、Aは、➀米国裁判所の専属管轄、➁蒸し返し裁判、➂DMCAの
当該規定は責任免除規定であり回復請求権付与規定ではない等主張した。
3 裁判所は何を認めたか?
B敗訴。B請求を棄却した。
➀日本の裁判所の裁判管轄を認め、➁対象となるサイトが異なれば別の事件で
あり蒸し返し裁判とは言えないとしたうえで、➂DMCAの当該規定は責任免
除規定であり回復請求権付与規定ではないとのAの主張を認め、Bの主張は失
当であり、その請求は前提を欠くとして、Bの請求を棄却した。
4 コメント
もし仮に、Bが、国をまたぐ複数の裁判所に同じ裁判を提起するならば、それ
ぞれの国の裁判所で異なった判決が下される可能性もあるかもしれない。そう
だとすれば、国際的な判断を統一するシステムの発見ないし創設が今後の課題
である。
以上
