東京地方裁判所 平成29(ワ)21880 損害賠償請求事件 令和3年2月26日判決
1 ポイントは何か?
原告多数の集団訴訟。
2 何があったか?
原告ら44名(実際の被害者は41名であり、相続による訴訟承継や放棄により原告が
44名となった。)は、被告B9ないし11に対しては闇バイト(虚偽の社債券の販売名
目の代金詐取)の受け子等としての他の氏名不詳のメンバー等との共同不法行為として損
害賠償請求を行った。また、連帯責任として、被告B1ないし8に対しては住吉会の幹部
ないしその相続人として、暴対法31条の2の「威力利用資金獲得行為」の代表者等の責
任(併合して民法17条の使用者責任)として、受け子等と同じ損害賠償請求を行った。
3 裁判所は何を認めたか?
原告44名の内4名の請求は被害金の送金が不明であること等により棄却された。
被告9ないし11は闇バイトの受け子として、被告B1ないし6は、住吉会の幹部亡Eの相
続人として、亡Eの責任を承継し、被告B7及び8は住吉会の幹部として、いずれも暴対法
31条の2の幹部責任を負った。民法715条の使用者責任についても併合して主張され
たがこれと同じであるから判断しないとした。
実被害と弁護士費用以外の精神的損害は認められなかった。
被告らは、過失相殺や請求権の時効消滅等も請求したが、これらはいずれも認められなか
った。
4 コメント
暴力団と闇バイトが結合するケースが多く、組幹部の指示で「威力利用資金獲得行為」と
して闇バイトに加わる場合もある。手軽に相談を受けることができるシステムがもっと必
要になる。なお、被告B1ないし8は、相続放棄により損害賠償請求を免れることもでき
たはずである。
