【知財事件:日本美術院の会員相互間の20年を隔てた作品の類似性が問題となった事件】

東京地方裁判所 令和7(ワ)70128 著作権侵害不存在確認請求事件 令和7年7月18日判決

1 ポイントは何か?


この訴訟は起こすべきであったか否か。

2 何があったか?


Aは日本美術院の理事であったが、Aが院展に出品した作品は、同じ会員のBが約20年前
に出品した作品に似ていた。日本美術院は、Aを倫理委員会にかけたうえで、Aを理事から
解任し、院展への出品を1年間停止する処分をした。
Aは、BがAを誹謗中傷したとして不法行為に基づく損害賠償請求をし、かつそれとは別に
本件の著作権侵害不存在確認訴訟を提起した。
Bは、本件著作権侵害不存在確認訴訟の裁判手続において、Bの作品とAの作品の関係は知
りたいが、Aに損害賠償請求をするつもりはないと述べた。

3 裁判所は何を認めたか?


A敗訴。裁判所は、AのBに対する本件著作権侵害不存在確認訴訟を却下した。
本件訴訟は、BがAに対して損賠賠償請求をするつもりがないと述べている以上、裁判で法
律を適用して解決しなければならない問題ではないと判断した。

4 コメント


Aが倫理委員会で、両作品の関係について丁寧に説明し、適切に対処しておれば、両作品
とも素晴らしい作品として、何ら問題がなかった可能性もある。

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