【民事訴訟手続き:訴えの取下げが擬制された事件】

1 ポイントは何か?

  死刑囚が民事裁判を受ける権利

訴えの取下げの擬制(民事訴訟法263条)

2 何があったか?

  原告Aが告Bに請求した損害賠償請求訴訟において、双方ともC地方裁判所の第1回及び第2回口頭弁論期日に欠席した。

  Aは死刑囚としてD刑務所に収監中であり、E地方裁判所であれば弁護士代理人が出頭できると聞いて、第2回期日の6カ月後に移送の申立をし、C地方裁判所は第3回期日において移送を決定した、

  Bは、民事訴訟法263条後段により連続2回の口頭弁論への双方当事者の欠席により、訴えは取り下げられたとみなすべきであると主張した。

3 裁判所は何を認めたか?

  最高裁判所でB勝訴。

原判決破棄、原々決定取消し、移送申立て却下、総費用B負担。

  宇賀克也裁判官の補足意見あり。

4 コメント

  民事訴訟法263条を機械的に適用していないか疑問。Aは行動の自由が制限されている死刑囚であるが、民事裁判を受ける権利がある。Aに対し、日本司法支援センター(法テラス)の援助を求めるよう促すような訴訟指揮があってもよかったのではないか。

美次訴訟法263条後段

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令和4(許)21

移送決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
令和5年9月27日最高裁判所第三小法廷決定(破棄自判)

原審 大阪高等裁判所