1 ポイントは何か?
農林漁業団体職員共済組合法24条1項の配偶者とは。
農林漁業団体職員共済組合法
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2 何があったか?
上告人は昭和5年に結婚した警察官の夫Dとの間に子が4人いるが、昭和15年頃Dから性病をうつされ再三発病し、昭和26年以降はDとの間に性行為が全くなくなった。昭和28年頃、Dは上告人と別居してEと同居したのち、上告人との離婚調停を申し立てたが不調となり、いったん上告人のところに戻った。しかし、Dは、家族の中で孤立し、昭和31年にふたたび上告人と別居してFと同居した。その後、Dは偽造の上告人との離婚届けを出した。Dは昭和43年に死亡した。
上告人は、昭和28年の別居の際に、Dと協約書を作成し、子らは上告人が引き取って養育し、Dは上告人に子らの養育料を支払い、上告人はDが受け取る警察恩給を上告人に分与し、お互いの生活には一切容喙しないことを合意した。Dは、昭和31にも子の養育料及び警察恩給の昭和39年までの直接受領についての承諾書を作成して上告人に交付している。
そして、上告人は、末子が18歳になるまで養育料を、Dが死亡するまで警察恩給を、それ以降はその5分の3の額の扶助料の支給を受けている。
上告人が、Dが組居合員であった農林漁業団体職員共済組合に対し遺族年金の給付を請求したところ却下された。
3 裁判所は何を認めたか?
Aの請求を棄却した。
農林漁業団体職員共済組合法24条1項の配偶者の概念は、民法上の配偶者の概念にかかわらず、共済組合法の社会保障法的理念ないし目的に適合した解釈をほどこすべきで、共済組合は強制加入の相互扶助団体であり、組合が給付する遺族給付は社会保障的性格を有する公的給付であるから、右遺族の範囲は組合員等の生活実態に即し、現実的な観点から理解すべきで、配偶者についても、組合員ないし組合員であった者と互いに 協力して社会通念上夫婦としての共同生活を現実に営んでいた者をいうものと解するのが相当であり、戸籍上届出のある配偶者であっても、その婚姻関係が実体を失って形骸化し、事実上の離婚状態にある場合には、もはや右遺族給付を受けるべき配偶者に該当しないと判断した。
4 コメント
同法は昭和39年に改正があったのち、平成13年法律101号の「厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律」で廃止されている。
しかし、この判例の考え方は、今日でも通用すると考えられる。
判例
昭和54(行ツ)109 遺族年金却下取消
昭和58年4月14日 最高裁判所第一小法廷判決(棄却)
原審 東京高等裁判所
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