【賃貸借契約:地方公社が賃貸建物の賃料を3年に1回増額していた事件】

最高裁判所第一小法廷 令和4(受)1744  賃料減額等請求事件 令和6年6月24日判決(破棄差戻)  原審 東京高等裁判所  


1 ポイントは何か?


  地方住宅供給公社による家賃の増額に対し、賃借人に異議を述べる権利があるか。


2 何があったか?


  Aらは、B地方住宅供給公社から、それぞれ建物を賃借していた。B公社は、3年に1回、Aらに家賃の増額を通知した。
  Aらは原告となり、B公社を被告として、適正家賃額の確認と、それを越えて支払った金額の不当利得返還を請求する訴訟を提起した
  B公社は、地方住宅供給公社法24条及びその委任を受けた同法規則16条2項は借地借家法32条1項に対する特別の定めに当たると主張した。


3 裁判所は何を認めたか?


  東京高等裁判所では、Aが敗訴。
  最高裁判所では、Aが勝訴。原審判決を取り消し、さらに審理を尽くさせるため、原審に差し戻した。


4 コメント


  Aらは、B公社が15年間にわたり、ほぼ3年に一度、一方的に家賃を増額してきたことに対し、疑問を持ち、泣き寝入りをしなかった。
  差戻審では、B公社は、一部、消滅時効の援用をするだろう。