最高裁判所第三小法廷 令和5(し)412 再審請求棄却決定に対する即時抗告棄
却決定に対する特別抗告事件 令和7年2月25日決定(棄却) 原審福岡高等
裁判所宮崎支部
1 ポイントは何か?
疑わしきは罰せずとは。
2 何があったか?
昭和54年10月15日、鹿児島県大崎町において、A、B及びCは、共謀し
て、D方において、Dに対し足蹴りするなどの暴行を加え、Dの首を絞めて殺
害し、Dを牛小屋の堆肥の中に穴を掘って埋めた。
検察官は、A、B及びCを殺人及び死体遺棄で、Eを死体遺棄で起訴した。
3 裁判所は何を認めたか?
鹿児島地方裁判所でA懲役10年、B同8年、C同7年、E同1年の刑となっ
た。
Aが4度目の、Bが3度目の再審請求をし、医師の鑑定書など新証拠を提出し
たが、最高裁判所は、そのいずれも確定判決の認定に合理的疑いを生じさせる
ものではないとの原審の認定を支持した。
裁判官宇賀克也の反対意見がある。「疑わしいときは 被告人の利益に」とい
う原則を具体的に適用するに当たっては、確定判決が認定し た犯罪事実の不
存在が確実であるとの心証を得ることを必要とするものではなく、 確定判決
における事実認定の正当性についての疑いが合理的な理由に基づくものである
ことを必要とし、かつ、これをもって足りる(最高裁昭和49年(し)第11
8号同51年10月12日第一小法廷決定・刑集30巻9号1673頁)。
4 コメント
新証拠に斬新な証拠価値を見出すことが必要だ。そのためには常識の壁を打ち
破らなければならない。