【刑事事件:強盗殺人事件の再審請求事件(香川県a村)】

最高裁判所第一小法廷 昭和49(し)118  再審請求事件についてした抗告棄却
決定に対する特別抗告 昭和51年10月12日決定
原審高松高等裁判所、原原審高松地方裁判所丸亀支部


1 ポイントは何か?


原原審高松地方裁判所丸亀支部管轄内のa村で強盗殺人事件が発生し、当時
19歳の男が逮捕勾留のうえ強盗殺人事件の被告人として起訴された。被告人
は包丁で被害者を何度も刺して殺害し、その胴巻から1万3,000円を奪取
したとして強盗殺人の罪に問われ、その旨自白している。


3 裁判所は何を認めたか?


高松地方裁判所丸亀支部は昭和27年2月20日付にて有罪判決を言渡し確定
した。
本件は第2次再審請求であり(本件)、請求者は高松地方裁判所丸亀支部に再
審請求をし請求棄却決定を受け(原原決定)、請求者が即時抗告し、高松高等
裁判所で抗告棄却決定を受け(原決定)、請求者が最高裁判所に特別抗告をし
た。最高裁判所は昭和51年10月12日付にて原決定及び原原決定を取り消
し、本件を高松地方裁判所に差し戻した(最高裁決定)。051097_hanrei.pdf
最高裁決定は、請求人の自白には、(イ)被害者の胴巻に血痕が付着していな
い点、(ロ)犯行現場に自白に符合する血痕足跡がない点、(ハ)請求人が自
動車で護送される途中、着用のオーバーのポケツトから強奪金の費消残金
8,000円 位を捨てたという点等に疑点があり、そのすべてが解明されな
い限り被害者の胴巻から1万3,000円を奪取したとして強盗殺人の罪に問
われている請求人の自白の信用性について疑問を抱かざるをえず、ほかにも自
白の内容である事実に不審を抱かせる疑点が数々あり、本確定判決が挙示する
証拠だけでは請求人を強盗殺人罪の犯人と断定することは早計に失するといわ
ざるをえない旨判断した。
最高裁決定後の高松地方裁判所は昭和54年6月6日付にて再審開始を決定し
、検察官が即時抗告し、高松高等裁判所は昭和56年3月14日付にて抗告棄
却を決定した。


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被告人の無罪は確定したと思われる。