令和5(行ヒ)177 固定資産価格審査決定取消請求事件
令和7年2月17日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
1 ポイントは何か?
高層建物の固定資産税評価額の定め方。
2 何があったか?
Aが所有する本件家屋は、平成2年2月19日に新築された地下2階、地上
18階建ての 非木造家屋であり、地下2階がRC造、地下1階及び地上1階
がSRC造、地上2 階から18階までがS造で構成されている。また、本件
家屋の構造別の床面積割合は、S造の部分が約87%、その余の部分(RC造
又はSRC造の部分)が約13%である。
大阪市長は、平成30年3月26日、本件家屋の平成30年度の価格をSRC
造等の補正率に基づいて24億7011万2000円と決定し、同月30日、
これを家屋課税台帳に登録した。
Aは、複合構造家屋における経年減点補正率の適用につき、地下階又は低層階
を構成する構造のうち所定経過年数の最も長いものをその主たる構造として、
当該構造に応じた経年減点補正率を適用する低層階方式は合理性を欠くから、
評価基準の解釈適用の誤りがあると主張した。
大阪市固定資産評価審査委員会は、平成31年4月22日、Aの審査の申出を
棄却する決定をした。
3 裁判所は何を認めたか?
大阪高等裁判所は、Aの主張を斥け、SRC造の部分は建物全体を支える基底
部分であるから、その補正率を用いたことは不合理・不平等であるとは言えな
いとした。
草野耕一裁判官のAの主張を支持する少数意見があり、補正率が最も厳しい低
階層補正率を基準とすることは納税者に対してドラコニアンであるという。
4 コメント
私は、地方自治の本旨から考えて、敢えて大阪市長の決定した固定資産税評価
額を違法としない最高裁二小の判決を支持する。そして大阪市長と議会の間で
の政治的解決においては、大阪高裁の判決と草野判事の少数意見(ドラコニア
ンとは面白い。)を十分に考慮すべきであると思う。このような政策変更の回
り道は時間がかかるが、それが民主主義であると思う。