【税金事件:固定資産税評価基準を争った事件(札幌)】

平成11(行ヒ)182 審査決定取消請求事件
最高裁判所第二小法廷平成15年7月18日判決
原審札幌高等裁判所


1 ポイントは何か?


3階建店舗の固定資産税評価額の定め方。


2 何があったか?


Aは、昭和51年12月建築の鉄骨造陸屋根3階建店舗を所有していた。
伊達市長平成9年度の固定資産課税台帳に本件建物の価格を3008万
3044円として登録した。
Aは、これを不服として伊達市固定資産税評価審査委員会(上告人)に対して
審査の申出をしたが、認められなかった。
Aの相続人であるB(被上告人)が、本件委員会決定の取消しを求めた。
Bは,札幌高等裁判所に、本件建物の平成9年1月1日時点の鑑定評価額を
1895万円とする不動産鑑定士F作成の鑑定評価書を提出した。


3 裁判所は何を認めたか?


札幌高等裁判所は、F鑑定書に問題があるとは認められないとし、F鑑定書の
観察減価又は補修費の控除が、定額法による減価と重複しているものとみる余
地があるとしても,本件建物の平成9年1月1日時点の適正な時価は2606
万円程度を超えるものではなく、伊達市長の決定した価格3008万3044
円は適正な時価を超えるから、違法であるとした。
最高裁判所二小は、伊達市長が本件建物について評価基準に従って決定した前
記価格は、評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定する
ことができない特別の事情又は評価基準が定める減点補正を超える減価を要す
る特別の事情の存しない限り、その適正な時価であると推認するのが相当であ
るとし、F鑑定書の評価も含めて審理不十分として原判決を破棄し差し戻した


4 コメント


不動産鑑定書も万能とは言えない。評価基準によることができないとする特別
事情の存在を証明するものでなければならない。