【行政事件:泉佐野市が国を相手に特別地方交付税の減額を争った事件】

最高裁判所第一小法廷 令和5(行ヒ)297  特別地方交付税の額の決定取消請
求事件 令和7年2月27日判決(破棄差戻)
原審大阪高等裁判所
原原審大阪地方裁判所


1 ポイントは何か?


地方公共団体が国を相手に法律の適切な執行を求める訴訟を起こせるか。


2 何があったか?


国が総務省令で、多額のふるさと納税を集めた地方自治体の地方交付税を減額
できると定めた。これにより国は、泉佐野市が、ふるさと納税を多額に集めた
分を勘案して、地方交付税を相当額減額する決定をした。
泉佐野市は、国を被告として減額された地方交付税額の決定を取消す訴えを提
起した。


3 裁判所は何を認めたか?


大阪地方裁判所は中間判決で泉佐野市の請求が法律上の争訟(裁判所法3条1
項)として裁判所の判断を求めることができるとし、終局判決で泉佐野市の請
求を認め、国の決定を取り消した。これに対し、国が控訴した。
大阪高等裁判所は、国の控訴を認め、大阪地裁の判決を取り消し、泉佐野市の
請求は法律上の争訟に当らないとして却下した。これに対し、泉佐野市が上告
した。
最高裁は大阪高裁の判決を破棄し、差し戻した。泉佐野市は国から独立した法
人格を持つ地方公共団体であり、国の泉佐野市に対する地方交付税額決定によ
り国と泉佐野市の間に債権債務関係が成立するので、法律上の争訟に当たると
した。


4 コメント


差し戻し審で、国の控訴が棄却され、大阪地裁判決が確定する可能性が高い。