【内縁解消:その後の争いとして第三者に対する相殺の意思表示をした事件】

最高裁判所第二小法廷  昭和38(オ)1066  請求異議事件
昭和40年4月2日判決 (原審、福岡高等裁判所)

1 ポイントは何か?


双務契約を含む内縁解消契約

2 何があったか?


AとBは内縁関係にあった。BはCからAが旅館経営上必要な土地を取得してAに
贈与することを約束した。その引渡後、所有権移転登記前にAとBは、Bが依頼
したD弁護士が関与して、内縁を解消した。その内縁解消契約で、AはBに
100万円を支払うことを約束し、Bは未履行の所有権移転登記手続を履行す
ることを約束した。Aは、Bに50万円支払ったが、Bは、残金50万円の請求
権をEに譲渡した。
EがAに50万円の請求訴訟を提起し、Eの勝訴判決が確定した。
AがD弁護士を代理人としてEに対し、AのBに対する所有権移転登記が履行不能
となったことによる損害賠償請求権と、EがAに対して取得した確定判決によ
る50万円を相殺すると主張して異義訴訟を提起した。

3 裁判所は何を認めたか?


A勝訴。Eは、Aに対する確定判決に基づく50万円の請求権を失った。
本件相殺の意思表示は有効(民事訴訟法545条2項、大審院民事連合部明治
43年11月26日判決)。不動産の引渡後は贈与契約の解除ができない(民
法550条但書、最高裁第三小法廷昭和29年7月6日判決)。D弁護士はB
の代理後、Eに対する訴訟でAを代理しても弁護士法25条1号ないし3号
、5号に触れない。

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内縁解消契約で取得した債権の譲渡を受けても、同契約の反対債権が未履行の
場合、相殺されることがある。

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