【就職活動用のナビを運営する会社が、登録した学生たちの内定辞退率を予想するデータを作成し、新人採用活動をする企業に販売したケース】

「データの世紀」日本経済新聞データエコノミー取材班=編、日本経済新聞出版社、2019.11.14、初版第1刷。

  同書13~46頁の「リクナビ問題の衝撃」参照

  行政法規の働きについて参考になる事例として紹介する。

1 ポイントは何か?

本件ナビ運営会社が、プラットフォーマーか否かは明確ではない。

プライバシーを利用される個人の同意の有無にかかわらず、職安法はかかるデータ販売を禁じている。。

2 何があったか?

データを販売した会社は、販売先の企業からも登録した学生のデータを入手していた。

日本経済新聞電子版のスクープ記事(2019年8月1日)が波紋を広げ、政府がこれに対処した。

3 政府はどのような対処をしたか?

 ① 個人情報保護委員会(内閣総理大臣の所轄)

個人情報保護法に基づき、個人情報を扱う適切な体制の整備を勧告した。

 ② 公正取引委員会

独占禁止法に基づいて、プラットフォーマー規制のガイドラインを発表した。

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/dec/191217_dpfgl.html

 ③ 厚生労働省

職業安定法に基づく行政指導を行い、「学生の同意を得ていたか否かに関係なく職安法が禁じる個人情報の外部提供に当たる」とした。