【貸金保証債務:保証契約締結後に主債務者が暴力団員であることが判明した事件】

貸金返還請求事件
最高裁判所第三小法廷平成28年1月12日判決

裁判所HP裁判例検索085597_hanrei.pdf (courts.go.jp)

1 ポイントは何か?

  保証債務の履行義務

2 何があったか?

  金銭消費貸借契約の保証契約締結後、主債務者が詐欺事件を起こして逮捕され、暴力団員であることが判明した。保証人は、主債務者が暴力団員であることがわかっていたら保証契約を締結していないから、この保証契約は無効であると主張した。

3 裁判所は何を認めたか?

  原審大阪高等裁判所は、保証契約の要素の錯誤があるとして保証人の支払い義務を認めなかった。

  しかし、最高裁は、保証契約の動機の錯誤に過ぎないとして、保証契約は有効であるとして保証人の支払い義務を認めた。

4 コメント

  政府は、平成19年6月に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を示した。しかし、これは主債務者が暴力団である保証契約が当然に錯誤があるとして契約が無効となる(令和2年4月改正債権法施行後は取消)など保証人の責任を軽減するものではない。もし主債務者に疑いがある場合は、保証人になってはならない。