【生活保護:福祉事務所長が生活保護不正受給者に対して費用徴収額決定をした事件】

1 ポイントは何か?

  不正受給した生活保護費の返還の際の基礎控除の要否

2 何があったか?  

  福祉事務所長は甲を世帯主、その長男乙を世帯員として生活保護の開始を決定した。

しかし、甲は乙の勤労収入を知りながら所定の届出をしなかった。

福祉事務所長は、甲に対し、基礎控除をせずに費用徴収決定をした。

甲は、費用徴収額から基礎控除をするように求めた。

3 裁判所は何を認めたか?

原審大阪高裁は福祉事務所長が費用徴収額の決定をする際に基礎控除をすべきことを認めた。

しかし、最高裁は、基礎控除をしない費用徴収額の決定が違法とは言えないとした。

4 コメント

  生活保護受給者が収入を正しく届けた場合は基礎控除が認められるが、不正に受給して届出なかった場合の届けなかった収入分の返還の場合には認められない。

生活保護変更決定取消等請求事件 最高裁判所第三小法廷平成30年12月18日判決(破棄自判)

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088191_hanrei.pdf (courts.go.jp)