1 ポイントは何か?
市庁舎前広場での集会の許可
2 何があったか?
憲法を守る会XがY市庁舎前広場で憲法施行70周年集会を開催しようとした。しかし、市長が庁舎等管理規則に基づき管理上の支障があるとして許可しなかった。
XがY市に対し国家賠償請求訴訟を提起した。
3 裁判所は何を認めたか?
X敗訴。
Xの示威行動によりY市の外見上の政治的中立性に疑義が生じて行政に対する住民の信頼が損なわれ、公務の円滑な遂行が確保されなくなるという支障が生じうるから、使用不許可は合理的とした。
裁判官宇賀克也の反対意見は、本件広場は市民の憩いの場であり、従前、集会が許可されたこともあり、公共用物ないしパブリック・フォーラムにも当たる公の施設として地方自治法244条の適用ないし類推適用を受けるべきである。抽象的危険のみで判断するのは、「見解による差別」を生む。同条2項の「正当な理由」の有無、国家賠償法上の違法性、賠償額を判断するため、原判決を職権で破棄し差戻すべきであるとする。
4 コメント
集会・結社の自由(憲法21条)を国民連帯の再構築のための人権としてみなおすべき時期ではありませんか。
以上
損害賠償請求事件
最高裁判所第三小法廷令和5年2月21日判決(棄却)
原審 名古屋高等裁判所金沢支部
(裁判所HP裁判例検索)