【労働災害:じん肺法上の管理区分3のじん肺・肺結核と原発性肺がんの因果関係の確証がないとされ労働災害と認められなかった事件】

1 ポイントは何か?

  相当因果関係、業務起因性 

2 何があったか?

  Aは、長年にわたり粉じん作業に従事した。

Aは、じん肺及びこれに合併する肺結核にり患した後に原発性肺がんにより死亡した。

Aの遺族であるXが、Aの死亡は業務に起因するものであるとして、労働者災害補償保険法に基づいて遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求した。

Aの原発性肺がんの原因はじん肺及び肺結核の合併症か、長年の喫煙によるものかが争いとなった。

  

3 裁判所は何を認めたか?

  X敗訴。

  Aのじん肺のじん肺法上の管理区分は3。じん肺及び肺結核の合併症と肺がんの因果関係はいまだ確証がなく、長年の喫煙との因果関係との可能性は否定できない。

  専門家会議報告書を踏まえて発せられた局長通達は、相応の合理的な根拠を有する。

4 コメント

  研究の進歩は裁判や法令に影響を与えます。

本判決後にじん肺法施行規則が改正され、じん肺の管理区分区2ないし3でも原発性肺がんはじん肺と密接に関連する合併症に指定されました。 

  参考 労働者災害補償保険法 | e-Gov法令検索

じん肺法 | e-Gov法令検索

じん肺法施行規則 | e-Gov法令検索

以上

遺族補償給付等不支給処分取消請求事件

最高裁判所第三小法廷平成11年10月12日判決(棄却)

 原審 福岡高等裁判所

(裁判所HP裁判例検索)

062787_hanrei.pdf (courts.go.jp)

労災でお困りの方

労働中の事故や病気で悩んでいる方、労災休業補償や労災保険に関する情報が必要な方へ。労災申請の手続きや労災認定の基準、事故後の後遺症やけがに関する懸念、さらに、事故後に労災申請を検討している方など、労災に関するさまざまな疑問や悩みがあることでしょう。川崎市の恵崎法律事務所は、労災に関連する法的問題や手続きについて、専門的なアドバイスとサポートを提供いたします。お気軽にご相談ください。