【破産事件:債務不存在確認等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件】

1 ポイントは何か?

  破産宣告後に受け取った生命保険金

2 何があったか?

  Bは、平成16年に被共済者B、死亡共済金400万円、受取人Y1及びAとする生命共済契約を締結し、平成23年に被保険者B、死亡保険金2000万円、受取人Y1とする生命保険契約を締結した。

  Y1及びAは東京地方裁判所に平成24年3月7日各自己破産申立をし、同月14日開始決定が下され、X1をYの、X2をAの破産管財人に選任した。

  Bが同年4月25日死亡した。

  Y1は同年5月上旬、死亡共済金及び死亡保険金合計2400万円を受け取り、内金1000万円を費消し(800万円分の費消は弁護士Y2の助言による。)、残金1400万円をX1の預り金口座に送金した。

  X1は、Y1によって費消された1000万円の内金800万円がY1の破産財団に属していると主張し、X2は、残金200万円がAの破産財団に属していると主張した。そのうえで、X1からY1及びY2に対して800万円を、Y1については不当利得返還請求権に基づき、Y2については不法行為損害賠償請求権に基づき、Y1及びY2の連帯債務として請求した。X2から200万円を同様に請求した。

 

3 裁判所は何を認めたか?

  X1及びX2の勝訴。

  Y1及びY2は、B死亡前の受取人の権利は単なる期待県にすぎないと争ったが、原審東京高等裁判所も最高裁判所もY1及びY2の主張を排斥し、X1及びX2の主張を認めた。

  裁判所は次のように言う。

受取人Y1及びAは、Bの生命共済契約及び生命保険契約により停止条件付死亡保険金請求権を取得するものと解され(最高裁昭和36年(オ)第1028 号同40年2月2日第三小法廷判決・民集19巻1号1頁参照)、それが一定の財産的価値を有することは否定できないものである。したがって,死亡保険金請求権は,破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして,上記死亡保険金受取人Y1及びAの破産財団に属すると解するのが相当であるとし。最高裁平成3年(オ)第625号同7年4月27日第一小法廷判決・生命保険判例集8巻123頁は,本件に適切でないとした。

Y2は、弁護士としての注意義務に違反したとした。

4 コメント

  最高裁判決文で引用されている2件の最高裁先行判例は、裁判所HPの裁判例検索には掲載されていないようである。したがって、内容未確認。追って確認したい。

上告代理人ha

、尊敬に値する大阪の弁護士で元最高裁判事の滝井繁夫氏である.その主張にかかる「期待権論」が空論とは思えない。Y1による費消の中身や目的、弁護士が安瀬それを助言したのかについては合理性があるのか尋ねてみたい。

参考 破産法34条2項 破産法 | e-Gov法令検索 

以上

平成27(受)330

債務不存在確認等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件

平成28年4月28日最高裁判所第一小法廷判決(棄却)

原審  東京高等裁判所

(裁判所HP裁判例検索より)