【税務署関係国賠請求事件:税務署長が行った事業所得の更正について国家賠償法の損害賠償請求をした事件】

1 ポイントは何か?

  国家賠償法1条1項の「違法」とは。  

国家賠償法 | e-Gov法令検索  

2 なにがあったか?

  税務署長Bが行ったAの事業収入の更正で年度によっては収入額が2倍となったが、控除する経費は申告額の通りとした。

  Aが国に対し、国家賠償法に基づく損害賠償請求をした。

 

3 裁判所は何を認めたか?

 ⑴ 原審地方裁判所 

   A一部勝訴

BがAの事業収入を2倍に更正したのに、売上原価、消耗品費及び給料賃金につき比例的増額推計をしなかったことは、職務上の注意義務に著しく違反し、不合理な方法を選択した違法な処分と評価できる。

 ⑵ 最高裁判所

   A敗訴。

Bの更正は、いまだ職務上の注意義務に著しく違反し、不合理な方法を選択した違法な処分と評価することはできない。

4 コメント

  Bの反面調査の際に、Aの協力が得られなかったことに問題はあるが、収入の更正に比例して経費の増額を推計しなかったことはAに対し処罰的になっている。

判例

平成1(オ)930  損害賠償

平成5年3月11日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  原審 大阪高等裁判所

民集47巻4号2863頁参照