1 ポイントは何か?
国は、労働災害の発生予防の施策を講じる責任を負うが、主管大臣の不作為が国家賠償法1条1項で違法とされる場合、及び損害賠償請求権の除斥期間(平成29年改正前の民法724条後段、なお、同改正後は時効期間とされている。)の始期がいつで、いつまで損害賠償請求ができるか問題となった。
2 何があったか?
鉱山労働者の多数人が粉塵を肺に吸い込み、じん肺に罹患した。
3 裁判所は何を認めたか?
国の敗訴。
国の保全措置(通産大臣による省令の制定など)の不作為を国家賠償法1条1項の違法と認定し、不法行為の20年の除斥期間の起算点を損害の全部または一部の発生の時からとした。
4 コメント
不法行為の20年の除斥期間の起算点を「損害の全部または一部の発生の時から」とはどういう意味か。全部の損害とは全部の損害が一時に発生する場合をいい、それ以外の場合は一部でも損害が発生したらその時から除斥期間が進行することになると考えて対処しなければならないであろう。平成29年民法改正により時効期間とされて以降は、時効の援用が権利濫用とされる場合もありうる。
判例
平成13(受)1760 損害賠償,民訴法260条2項による仮執行の原状回復請求事件
平成16年4月27日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却
原審 福岡高等裁判所
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