1 ポイントは何か?
A及びDと窃盗を共謀した被告人Bが、被害者Cに首を押さえつけられ、Bから助けを求められたAがCに加えたCの抵抗を抑圧する程度の暴行傷害により、BはAと共に強盗致傷罪の共同正犯になるかが争われ、最高裁判所は、そうなることを認めた。
2 何があったか?
Bが、Aを見張り役にして、ドラッグストアで金品を摂取し、逃走しようとしたが、Cに追いかけられ、首を押さえつけられた。BはAに助けを求め、AがCをBから引き離すため、Cに対し、抵抗を抑圧する程度の暴行を加えて傷害を負わせた。
3 裁判所は何を認めたか?
地方裁判所(第1審)は、BとAの間には、BがCに首を押さえつけられ、Aの助けを求めた時点でBとAが二人がかりでのCの抵抗を抑圧する程度の暴行についての共謀が成立し、BはAと共に強盗致傷罪の共同正犯になると認定した。
これに対し、原審(第2審)は、BとAの間には、Cの抵抗を抑圧しない程度の暴力の共謀関係しかなく、Cの抵抗を抑圧する暴力を振るったのはAであるからAのみ強盗致傷罪で、Bは窃盗罪と傷害罪であると認定した。
最高裁判所は、地方裁判所が下した、BとAの間に犯行を抑圧する程度の暴行の共謀が成立するとの判断を支持し、原審のBに関する部分の判決を破棄し差し戻した。
4 コメント
もともとどのようにしてA、BおよびDの3名の窃盗団が編成されたのか、この判決文では不明であるが、これも闇バイトだったかもしれない。もう一人の共犯者Dはどうなったか。Dは窃盗のみの共謀関係であったし、暴行には加わっていないので、窃盗罪のみで済んだと思われる。闇バイトにうかつに加わると、こうなる。
判例
平成20(あ)181 窃盗,傷害,出入国管理及び難民認定法違反被告事件
平成21年10月8日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
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