最高裁判所第三小法廷 昭和50(あ)146 道路交通法違反、公務執行妨害 昭和
51年3月16日 決定(棄却) 刑集 第30巻2号187頁
1 ポイントは何か?
任意捜査の限界、及び、正当防衛とは。
2 何があったか?
Aは、飲酒運転で自損事故後に、警察署に任意同行したが、逃走を企て、それ
を制止しようとして手首をつかんだ警察官Bの肩章を引きちぎり、顔を殴打し
たので、公務執行妨害罪で現行犯逮捕された。
Aの弁護人は、BがAの手首をつかんだことは任意捜査の相当性の限界を超え
、Aに正当防衛が成立すると主張した。
3 裁判所は何を認めたか?
Aは、道路交通法違反、公務執行妨害で有罪。Bの行為は有形力の行使である
がさほど強いものではなく、任意捜査の必要性、相当性を越えず、正当な公務
の執行と認められる。そして、Aの正当防衛は成立しない。
4 コメント
任意捜査には、必要性、相当性の範囲で程度の低い有形力の行使も正当な公務
として認められる。