【刑事事件:強盗の被害者が手段としての傷害により死亡した事件】

最高裁判所第二小法廷 昭和22(れ)3  強盗傷人 昭和22年11月5日判決  棄
却  原審東京高等裁判所


1 ポイントは何か?


強盗の結果的加重犯である強盗致死の共犯が成立するためには致死の点につい
て過失が必要か。


2 何があったか?


被告人AはBと共謀してCからサッカリンを奪取しようとし、BがCをこん棒
で殴って死なせてしまった。
検察官はA及びBの強盗致傷の共同正犯が成立するとして起訴し、。
弁護人は、AにはCからサッカリンを窃盗ないし詐取する故意はあったが、強
奪する故意はなく、BがCを棒で叩くことは予測不可能であった旨主張した。


3 裁判は何を認めたか?


最高裁判所は、強盗致傷は結果犯であるから、強盗と傷害の点に共同加行の故
意があれば、強盗致傷の共同正犯が成立するとした。


4 コメント


本件判例は妥当ではない。
強盗致傷は結果犯であるとは言え、因果関係があれば予測可能性がなくても致
死の結果についても共同正犯が成立するという結論は是認できない。致死の結
果については、共犯者の個別に過失の有無を判断し過失がある場合は致死の結
果に責任を負うとすべきである。その様に考えて検討する下級審判決例もある