【刑事事件:裁判所がいわゆるクリーン・コントロールド・デリバリーの方法による捜査で2度勾留状を交付した事件】

平成30(し)585  勾留の裁判に対する準抗告の裁判に対する特別抗告事件
平成30年10月31日  最高裁判所第二小法廷  決定  棄却  大阪地方裁判所


1 ポイントは何か?


一連の実質的に同一の犯罪で2度の勾留状の交付は有効か。


2 何があったか?


Aはいわゆるクリーン・コントロールド・デリバリーの捜査方法により、禁制
品である覚せい剤の代替物の所持で逮捕勾留され、次に営利目的の覚せい剤所
持で2度目の勾留をされた。Aは一連の捜査で実質的に1罪であったから、1
度の勾留で一連の事件の捜査を完了すべきであったと主張した。
いわゆるクリーン・コントロールド・デリバリーとは、禁制品を無害品と入れ
替えて被疑者を泳がせる捜査方法である。


3 裁判所は何を認めたか?


最高裁判所は、両犯罪は独立性がある2つの犯罪で併合罪であるとし、憲法な
いし判例違反とは認めなかった。


4 コメント


裁判所が勾留決定をした時は、不服申立の方法として準抗告ができる(刑事訴
訟法429条)。Aの弁護人は実質的に1罪であれば、1度の勾留で捜査を完
了すべきであり、2度にわたることは人権侵害であると主張したようである。
勾留の長期化は避けるべきである。