【刑事事件:航空機の乗客により安全阻害行為が行われた事件】

最高裁判所第三小法廷 令和5(あ)1434  威力業務妨害、暴行、航空法違反、公務執行妨
害、器物損壊被告事件 令和7年4月8日決定(棄却) 原審、大阪高等裁判所


1 ポイントは何か?


航空機内の乗客による安全阻害行為に対する機長の反復継続禁止命令権。


2 何があったか?


Aは航空機の乗客であり、乗務員Cら職務を妨げる等の安全阻害行為をし、機
長Bから同行為の反復、継続を禁止する命令を受けたのに止めなかった。
検察官は、Aを威力業務妨害、暴行、航空法違反、公務執行妨害、器物損壊等
被告事件の被告人として起訴した。
Aの弁護人は、航航空法150条5号の4、同法73条の4第5項、航空法施
行規則(政令)164条の16第3号の規定は処罰対象行為の決定を「私人で
ある機長に委任している」として憲法31条の罪刑法定主義の原則、及び、同
73条6号の内閣の政令で罰則を定める場合は法律の委任を必要とする原則に
違反し違憲無効であると主張し、最高裁判所に上告した。


3 裁判所は何を認めたか?


最高裁判所は上告棄却決定を下した。
航空法施行規則164条の16第3号は、航空法73条の4第5項の委任によ
り「具体的に」機長が禁止命令できる処罰対象行為を定めており、その決定を
私人である機長に委任しているとみるのは誤りであるとする。


4 コメント


航空機に乗るときは、乗客として守るべきことをきちんと確認しておきましょ
う。