【刑事事件:労働争議で、組合員が会社の幹部に暴行、脅迫、監禁等した事件】

最高裁判所第三小法廷 昭和30(あ)1996  不法監禁、暴力行為等処罰ニ関ス
ル法律違反
昭和33年11月4日   判決  破棄差戻  福岡高等裁判所


1 ポイントは何か?
期待可能性理論。

2 何があったか?
A社とB労働組合の労働争議中にB労働組合員らが激高し、B労働組合の委員
長CらがA社の幹部Dらを集会に連れ出し、更にB労働組合の施設に連れ込ん
だ。
検察官は、委員長C及び労働部長Dを暴力行為等処罰に関する法律の暴行脅迫
及び不法監禁として起訴した。

3 裁判所は何を認めたか?
高等裁判所は、暴行脅迫については労働組合員が激高しやすい争議中には往々
にしてあることで、適法行為に出る期待可能性がなく無罪とし、不法監禁につ
いてのみ有罪とした。
最高裁判所はいずれも有罪として、原判決を破棄し差し戻した。

4 コメント
法律の研究とは、裁判所が採用できるような法理論を構築することであり、期
待可能性理論について意義、理論構成、適用限界など説得力のある論究を表せ
ば、法学博士号のレベルであろう。ここに、裁判例以外の論文を探し求める意
味がある。

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