最高裁判所第一小法廷 令和7(し)328
保釈請求却下決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告事件
令和7年5月21日 決定 (原審 札幌高等裁判所)
1 ポイントは何か?
刑事裁判官の除斥原因
2 何があったか?
A被告人がB地方裁判所でC裁判官により有罪判決を下され、D高等裁判所に
控訴し、同高等裁判所に保釈請求をしたところ、却下された。さらにAがD高
等裁判所に異議申し立てをしたところ、D高等裁判所はこれを棄却した。Aは
、最高裁判所に特別抗告をした。
D高等裁判所で保釈請求の却下及び異議申立の棄却決定をした合議体には、B
地方裁判所でAに有罪判決を下したCがD高等裁判所の裁判官として加わって
いた。
3 裁判所は何を認めたか?
A勝訴。最高裁判所は、D高等裁判所の保釈請求の却下及び異議申立の棄却決
定を破棄し、D高等裁判所に差し戻した。
C裁判官は「前審の裁判」であるB地方裁判所におけるAの有罪判決に「関与
」した裁判官であり、D高等裁判所におけるAに対する保釈請求及び異議申立
についての「職務執行」から「除斥」される(刑事訴訟法20条7号本文)。
4 コメント
C裁判官には、同じAの関連する刑事手続であるという認識があったはず。単
なる見落としか、それともこのようなことが慣例として行なわれていたか。
以上