1 ポイントは何か?
訴訟救助の申立(民事訴訟法82条)。
共同訴訟では原告らの請求額が合算される(民事訴訟法9条1項本文)。
その場合の各原告の訴訟費用額が還付される場合の額は請求額により按分された額の2分の1とする(民事訴訟費用法3条1項柱書)。
その前提で、訴訟救助の対象額は?
2 何があったか?
訴訟救助とは、訴え提起の印紙代などの負担が当事者の生活に著しい支障をきたす場合に支払の猶予などをする制度である。
水害被害者Aら32名が共同して国賠請求を提起し、併せて原告全員訴訟費用全額を基準とする訴訟救助の申立をした。
3 裁判所は何を認めたか?
訴訟救助の申立について、
⑴ 原々審、地方裁判所
Aら敗訴。申立は却下。
⑵ 原審 高等裁判所
Aら勝訴。原々審判決を取り消し、原々審に差し戻した。
共同訴訟の各原告は合算される訴訟費用全額について各自納付義務を負うから訴訟救助の対象額も各自について請求額全額である。
⑶ 最高裁判所
Aら敗訴。原審決定を破棄し、原審に差戻した。
原告各自の訴訟救助対象額は按分して得た額に限られる。
4 コメント
一定の基準が必要。最高裁に従う。
判例
令和5(許)1 訴訟救助付与申立て却下決定に対する抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件
令和5年10月19日 最高裁判所第一小法廷 決定 破棄差戻 広島高等裁判所 岡山支部