1 ポイントは何か?
漁業取締船が夜間、灯火を消して密漁底曳網漁船に接近し、サーチライトを照らしたところ密漁底曳網漁船が逃走し、迷走して漁業取締船に追突覆没させたので、密漁底曳網漁船の操縦者等が漁業法違反、艦船覆没、公務執行妨害等で起訴され、弁護人は、漁業取締船が灯火を消して接近したことは海上衝突予防法違反に当たり、漁業取締の公務の目的から逸脱していると主張したが、有罪となった。
2 何があったか?
長崎県漁業取締船C丸(木造船、52.35トン、船長・司法警察員D)は、昭和28年11月24日午後4時頃、密漁取り締まりの目的をもって長崎港を出港し、同日午後7時20分ころ、現場海域で全灯火を消灯した密漁底曳網漁船数隻を発見し、F1丸(木造船、75.33トン)追跡したところ、F1丸が迷走し、C丸に追突し覆没させた。
弁護人は、C丸が灯火を消灯して接近したことは海上衝突予防法違反であり公務の思考とはいえず、突然サーチライトを照らしてF1丸の乗組員の眼を幻惑したことが衝突の遠因となったなどと主張した。
3 裁判所は何を認めたか?
裁判所は、弁護人の主張を認めず、被告らを有罪とし、懲役刑及び罰金刑を課した。ただし、懲役刑(2年ないし3年)については執行猶予を付した。
4 コメント
そのころは、まだ戦後の食糧難の時代であったと思われる。
判例
福岡高等裁判所第2刑事部昭和32年(う)第814号艦船覆没公務執行妨害等被告事件、昭和33年7月3日判決、
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