1 ポイントは何か?
取締役の任務懈怠責任の成否
2 何があったか?
大手ハウスメーカーのC株式会社の代表取締役Aらが、架空取引で金銭をだまし取られたことについて、株主Xから株主代表訴訟を提起され、AらからCに対し、会社法423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)に基づく損害賠償金として各自55億5900万円及びこれに対する平成29年6月1日から支払い済みまで民法所定の年5%(民法所定の法定利率3%への改正法施行前の事件である)を支払うよう請求された。
3 裁判所は何を認めたか?
Aらの判断の前提となった稟議書の内容等に躊躇を憶えさせるようなものはなく、その判断の前提となった事実の認識ないし評価に至る過程は合理的であり、経営判断としてAに許された裁量権の範囲内にとどまり、善管注意義務違反、忠実義務違反はないとして、Xの請求を棄却した。
4 コメント
株主代表訴訟は、被告らに会社に支払うよう求める金額のいかんにかかわらず、非財産権上の請求とみなされ、貼付印紙が非常に低額である。但し、事前の手続きがあり、また、不正な請求や、貴社に損害を加える目的で請求することは許されない(会社法847条)。
株主代表訴訟
大坂地裁令和4年5月20日判決
(裁判所HP、裁判例検索)
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/320/091320_hanrei.pdf
(会社法第7編雑則、第2章訴訟、第2節株式会社における責任追及等の訴え)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086