1 ポイントは何か?
日本の裁判管轄
2 何があったか?
Aはカジノの運営を主たる業務とするネバダ州法人であり,ネバダ州で ゲーミング(賭博営業)免許を受けている。Aは、同社定款に基づき、同社取締役会の議決により、日本企業BにAの同免許を危険にさらす行為があったとしてBの子会社が保有するAの株式(保有割合は20パーセント)を強制的に償還し、Aに対する損害賠償を請求する裁判をネバタ州の裁判所に提起し、Bも同裁判所に同株主総会無効確認と株式強制償還の執行停止を求める反訴を提起した。
Aがインターネットでこのことを公表し、Bはそれによる損害が日本国内で発生したとして日本の裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。
3 裁判所は何を認めたか?
最高裁判所は、Bの訴えにつき日本の裁判管轄を認めず、請求を却下した原審判決を支持し、上告を棄却した。
民訴法3条の9にいう「日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し,又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情」があるとした。
4 コメント
日本の法律で平成28年法律第115号特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律でカジノの規制はあるが、カジノの免許ないしゲーミンング(賭博営業)免許という制度は、私が調べた範囲では見つけられなかった。ネバタ州法では、ゲーミング免許を受けた企業がカジノを運営できるのであり、日本の法律にそれがないとすれば、日本はカジノの導入について甘くはないか。ネバタ州と同等のゲーミング免許を持たない日本企業は問題を起こすのではないか。
判例
平成26(受)1985 損害賠償請求事件
平成28年3月10日 最高裁判所第一小法廷判決(棄却)
原審 東京高等裁判所
(裁判所HP裁判例検索)
民集 第70巻3号846頁
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